女性の更年期障害

更年期障害(menopausal syndrome)は女性が閉経に伴って経験する一連の身体的および精神的な症状を指します。
一般的には、40代から50代にかけて始まることが多く、エストロゲンプロゲステロンといったホルモンの急激な減少が原因です。
イライラしやすくなったり体調不良などさまざまな症状が現れ、これらの症状でお困りの患者様へホルモン療法やライフスタイルの改善、心理的サポートを組み合わせて、個々の患者様に最適な治療を提供いたします。

症状について

更年期障害の症状は多岐にわたり、以下のようなものが含まれます。

  • ホットフラッシュ(顔や体のほてり)
  • 発汗(特に夜間の発汗)
  • 月経不順
  • 不眠
  • 動悸
  • 疲労感
  • 動脈硬化
  • 関節痛や筋肉痛
  • 感情の不安定(うつ状態、不安、イライラ)
  • 記憶力や集中力の低下
  • 骨粗しょう症
  • めまい
  • 冷え性
  • 頻尿・尿漏れ
  • 性的欲求の減少
  • 膣の乾燥

診断

診断は患者様の症状と月経歴、そして血液検査を基に行います。
血液検査では、エストロゲン、FSH(卵胞刺激ホルモン)などのホルモンレベルを測定します。
定期的な診察を通じて症状の変化や治療の効果を評価します。
また骨密度の測定や乳がん検診、お悩みの相談など、女性の健康全般のフォローアップを行います。

治療

治療法は症状の重さや健康状態によって異なりますが、以下の治療法があります。

ホルモン補充療法(HRT)

少なくなってきた女性ホルモンを補充し、更年期障害の症状を緩和・改善します。

・エストロゲン療法 … 閉経後に不足するエストロゲンを補充します。
・プロゲステロン療法 … 子宮がある場合、エストロゲン療法と併用することが多いです。

サプリメント治療

選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)… 主にうつ症状の治療に使用します。
骨粗鬆症の治療薬 … 骨密度の低下を防ぐための薬剤です。
ライフスタイルの改善 … バランスの取れた食事、適度な運動、ストレス管理などのご提案。

漢方療法

漢方薬は個々の症状や体質に合わせて処方され、副作用が少ないとされています。

・当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
月経不順、疲労感、肩こり、頭痛などに効き、血行を改善し、貧血や冷え症、むくみを緩和します。

・加味逍遥散(かみしょうようさん)
イライラ、不安、不眠、ホットフラッシュなどに効き、精神的な安定をもたらし、ストレスや不安を軽減します。

・桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
冷え性、肩こり、頭痛、下腹部痛などに効き、血流を改善し、瘀血(おけつ、血行障害)を取り除きます。

更年期障害は「精神的な影響」も大きいため、お一人お一人に寄り添った心理カウンセリングも行っております。
安定した生活を送るために体調面や心理面の不調がございましたらお気軽にご相談ください。